
各本の推薦文コーナーです。
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アガサ・クリスティ;中村能三/新潮社
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| 名探偵ポワロものの1つです。推理することと真相を知ること、この2つの楽しみを存分に味わうべき作品です。本の帯やカバー、あとがき等の余計な情報はいっさい目にしないで、まずは読んでみてください。でないと、カンのいい人ならば読む前から真相に気付いてしまうかも。それでは、面 白みが半減以下になってしまって、勿体ありませんので。 | |
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アガサ・クリスティ;中村能三/新潮社
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| 同上ポワロものの最終話です。ポワロ最後の事件として忘れがたい作品ですが、最低でも同シリーズの有名作品(『オリエント急行の謎』『青列車の謎』など)を3つくらいは読んでおいたほうが、より味わい深く、楽しめます。傑作です。 | |
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ウンベルト・エーコ;河島 英昭/
東京創元社
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| 中世イタリアの僧院での事件をめぐる話と、同時期に興ったキリスト教の宗派がからんだ、政治社会的な権力争いとの2面 が混在した物語です。重厚で複雑な文章が困難ではありましたが、事件の真相には意表を突かれました。著者の代表作であり、同名映画の原作でもあります。 | |
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宮部 みゆき/双葉社
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| カードという信用金融の盲点をついた犯罪、その恐さをたっぷり味わわせてくれる作品。人が心理的に追いつめられた時の、信じられないような、でも充分ありうる犯罪へ意識の転向がリアルに描かれています。最後の文には、すっぱりと鋭い、でも的確なキレを感じました。余談ながら、テレビドラマ化されたこともあります。 | |
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三浦 綾子/朝日新聞社
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| 中心舞台は旭川ですが、そこを旅行中に当作品にまつわる観光案内を目にしてから気になっていた1冊です。著者はキリスト教信者なのでその精神が正論的に展開されていたり、ヒロインがあまりに超然とした善人だったりと偏したところもありますが、人間の宿命や性(さが)を語ったドラマとしては傑作だと思います。私は最後の2〜3章で泣いてしまいました。 | |
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横山 秀夫/文芸春秋
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| 山をメイン・モチーフとした骨太の小説。 自らの体験を活かし、実際にあった航空機事故をめぐる地方新聞社での一社員の奮闘が描かれています。社内抗争や各メディアとの攻防戦・人海戦術といった(マスメディア)社会の側面 と、永遠に謎となってしまった旧友の言葉が、人間くささを感じさせ共感を呼びます。 中年、登山、マスコミのいずれかに顔を突っ込んだことのある人なら、なお興味深く読めるのでは。 | |
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J=R=R=トールキン/評論社
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妖精やゴブリン(小悪魔)、ゴーレム、半人半獣など、一見ファンタジックな要素が散りばめられていますが、その実、正義感や友愛の情、裏切りや憎悪など、人の本質があますことなく語られた、壮大な冒険の旅物語です。景観や登場者たちが生き生きと、リアルに描かれ、素晴らしいです。挿し絵の美しさも楽しみの1つ。 |
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アーシュラ・K・ル=グウィン;清水
真砂子/岩波書店
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前半は、魔法や竜の存在する世界にすむ魔法使いゲドが、自らのあやまちに決着をつけるまでの旅。後半は、失われた秩序を回復し、新たな時代への幕開けを目指し、変化の渦中で生きる人々の話。正義や責任、友情を担った主人公は、児童書にふさわしい姿ではありますが、“魔法”を“倫理”“道徳”と置き換えれば、時代を超えて社会に問われるべきテーマがあります。 |
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カード・ミステリー
〜失われた魔法の島〜 |
ヨースタイン・ゴルデル;山内 清子/徳間書店
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12才の少年が、父とともに、家出した母親を迎えに行く旅に出ます。途中で手に入れた豆本の、トランプをなぞって繰り広げられていく物語と、実際の旅とが並行して進んでいきます。謎解きの要素もある反面 、父と子の物語でもあります。全体が小章に分けられ、読みやすかったです。本国ノルウェーでは批評家連盟賞、文化庁文学賞を受賞。 |
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アーサー・C・クラーク;山高 昭/早川書房
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『2001年宇宙の旅』シリーズで知られている著者は、私が崇拝している作家の1人です。これは'79年に引退宣言した時の作品(その後、復帰しましたが)。宇宙エレベーター、知的生命体との接触、“神”の概念、偶然の作用、数学的知識……といった豊かな見識と、冷静な分析が随所にあふれています。それでいて、最後の言葉のように、人間らしい情も見られる、著者の集大成の1つ。 |
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アイザック・アシモフ;岡部 宏之/早川書房
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『銀河帝国興亡史』シリーズ全7巻の第1作として名高く、SF界の大御所である著者の代表作でもあります。知識に寄りがちなもう1人の第一人者A・C・クラークに比べ、やや非説明的でマンガ的な曖昧さを感じますが、それぞれの登場人物が生き生きと活動していて、魅力的です。 |
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マイクル・クライトン/早川書房
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途中で止めることができず、徹夜して読破した400ページの作品です。深海に沈んだ宇宙船が、そこで見つけた謎の球体をめぐっての、いわばサスペンス仕立てのSF心理劇。犯人の目星をつけてからも、何度もどんでん返しを食らいました。ダスティン・ホフマン主演で映画化もしていますが、小説のほうが話を理解しやすいと思います。 |
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村上 龍/幻冬舎
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'94年の作品ですが、それまでのファッション的な作品とは明らかに違い、しっかりした作りの秀作です。個人的には『コインロッカー・ベイビーズ』『ラッフルズホテル』のほうが好きですが、地下で生き延びる日本帝国というパラレル・ワールドの設定や、戦争描写 に安易なものがなく、その緊張感が強く印象に残った作品です。続編『ヒュウガ・ウイルス』のほうは、今ひとつに思えましたが。 |
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ピーター・ゲザーズ/二見書房
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出版業・脚本家・小説家を生業とする著者と、スコティッシュ・フォールド[→猫の一種類]の話。猫ノートンの、信じられないような数々の振る舞いは、ペットを持つ者にとって憧れの的ではないでしょうか。その賢さと、著者との甘い(?)関係は、うらやましい限りです。とても愛らしく、楽しい気分にしてくれて、猫好きにはたまらないであろう物語です。 |
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ダシール・ハメット;鳴海 四郎/筑摩書房
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映画化やドラマ化もされている、著者の代表作です。主人公であるサンフランシスコの私立探偵、サム・スペードは特に美男でも洗練されてもいないのに、その粗野でタフな一面 が魅力的です。物語も話が“デッカく”て夢があり、面白かったです。 |
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ダシール・ハメット;能島 武文/新潮社
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著者の処女長編作で、ハードボイルド派の元祖です。探偵の「わたし」が、殺された依頼主の父親から、町の“そうじ”を頼まれ、裏世界の事情に巻き込まれていきます。謎解きも面 白いですが、人間性の描写が面白く、欠点は多いのに信念が固く、タフな主人公に惹きつけられます。練りに練られて無駄 なく進む話も、読みごたえあり。 |
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アンドリュー・ヴァクス;佐々田
雅子/早川書房
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探偵バークのシリーズ3作目で、少女売春婦を狙う事件をめぐって、彼が活躍します。処女作である1作目、それから続く2作目までは主人公の思考が独りよがりで、感情移入しづらかったのですが、この作品ではヒロインが、話全体に人情を通 わせています。著者は未成年問題に従事する弁護士なので、一貫した正義感による執念で仕上げたシリーズと言ってもよいかも。 |
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ラフィク・シャミ;酒寄 進一/西村書店
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主人公の少年が語る、シリアの下町に暮らす人々が、とても生き生きとしています。少年の生活には社会の状況が反映されており、シリア内部から見た世界観がわかるのも興味深いところ。戦争への批判的態度や人権尊重の意思がはっきり表れていますが、個人の立場から描かれているために共感を呼びます。著者はシリアのダマスカス出身で、旧西ドイツに移住しているそうです。 |
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バーバラ・レオニ・ピカード;高杉
一郎 /岩波書店
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イーリアスとは「イーリオス(トロイ)の歌」の意で、この話は叙事詩を再話化し、物語としたものです。トロイア戦争中の英雄アキレウスのエピソードが中心となり、戦争最後の数カ月が描かれています。エピローグとプロローグが付いているため、話に入る前に、全体像を把握することができます。また、文章自体の力強くなめらかなリズムと、生き生きとした登場人物像も楽しめます。 |
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バーバラ・レオニ・ピカード;高杉
一郎 /岩波書店
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トロイア戦争後、イタケー島に戻るまでの王オデュッセウス(英語読みでは“ユリシーズ”)の10年にわたる放浪の旅、青年に成長した息子テレマコスの小冒険、王が帰国してから館の平和を取り戻すまでの話が描かれています。多少流れはゆったりしていますが、『イーリアス』同様にリズムのいい文章で綴られています。 |
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夢枕 獏/徳間書店
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真言宗を日本にひろめた天才僧・空海。彼を主人公にして描いた幻想小説です。若き空海が唐(中国)へ留学しているときに、奇想天外な事件が起こり、彼と朋友が巻き込まれていきます。ときの王朝の権力争いがからみ、非業の死をとげた楊貴妃の伝説もくわわって……壮大でありながら繊細な人の世が描かれた、娯楽大作です。 |
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茨木 のり子/岩波書店
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さまざまな詩人の紹介本とでも言いましょうか。初めて詩の面 白さや味わい深さについて知ったのは、この本によってだと言えます。自分では知らなかったり、選ばないだろうと思うような詩(人)も載っており、その解釈や感じ方がすらすらと述べられていて、素直に読める良本です。 |
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ハリエット・ジィーフェルト、アニタ・ローベル;松川
真弓/評論社
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この物語は、実話を元に描かれました。戦後で、物もお金も不足していた頃、ある少女とその母親が、知恵と忍耐によって、子供の新しい上着を手に入れるまでの話です。素朴な色使いの大人っぽい絵ですが、厳しい時代の中、さまざまな人々との交流や、明るさと楽しさを失わない少女の姿が、温かさを感じさせてくれます。 |
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ミヒャエル=エンデ、アンネゲルト=フックスフーバー;佐藤
真理子/偕成社
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恐い夢を見たくなさに不眠症に陥ったお姫様のため、王様自らが旅に出る話です。ファンタジーの大家、エンデの文章もさることながら、お話のムードにぴったり一体化した、ちょっと個性的で不思議な感じを受ける絵が、印象的。それも丁寧に描かれているので、大人の観賞にも堪えうる味のある1冊と思います。 |
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J.D.サリンジャー;野崎 孝/白水社
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村上春樹氏による新訳版が出て話題になりましたが、そちらを読む気がまったくしないほど、この野崎訳版は私のバイブル化しています。実は、最初に読んだ14才の頃は、主人公の置かれた状況や世界観の異質さと強烈さに、馴染めないどころか嫌な気持ちにさえなったものです。が、何年も経ってから読み返した時にハマってしまい、手持ちの本で唯一、書き込みやアンダーラインを残すまでに至りました。ハンチング帽と、弟・妹のエピソードがお気に入りです。 |
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白沢 節子/三笠書房
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いわゆるマニュアル本ではありません。仕事に関する考え方を、前向きに切り替えるきっかけになる本です。「なぜ自分だけが、こんなことをやらなければならないのか」と不満を覚えることは誰にでもあるでしょうが、新入の時、仕事に慣れや迷いが出てきた時などに読むと、役に立つこともあるのではないかと思います。 |
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鴨下 一郎/新講社
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元気な人が読んでもピンと来ないところが多いと思いますが、なんとなく疲れたり、うつの気分になった時に読むと、けっこう救われることが書いてあります。1項目が1見開きで終わっているので、気負わずに読めるのも良いところ。もくじで見出しを見て、興味を感じるところだけ読んでもいいのでは。 |
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星野 富弘/偕成社
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事故で体が不自由になった著者は、口に筆を持ち、身近な植物を写 生し、その横に言葉を添えたものを描くようになりました。その本を20年近く前に初めて手にし、生きることに対する前向きな姿勢に心を打たれました。と同時に、彼の書いたものを見て初めて、花それぞれに抱いていた先入観(たとえば彼岸花はお墓にあって陰気くさいものだとか)に気付き、それから解放されていった気がします。 |
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山崎 拓巳/サンクチュアリ出版
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※山崎さんの「崎」の字は、特殊文字扱いのために表示できないので、仮で入れてあります。 |
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斎藤 学/講談社
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アダルト・チルドレンと呼ばれる人たち中心の記述ではありますが、幼児虐待やアルコール依存など、家族関係に起因すると思われる、さまざまな精神不安症状の由来や表出例、解消例なども語られています。なお、著者は精神科医です。 |
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リチャード・E・ネルソン、ジュディス・C・ガラス;那波
かおり/アスペクト
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主な対象は10代の若者で、自殺について悩む本人あるいはその友人たちへ、その心理や対処法について語りかけています。ですが著者はまた、彼らの周辺にいるおとなたちにも読んでほしいと願います。自殺によって遺されてしまった人々が、自分自身を救うための助言のほか、巻末には相談機関の一覧も載せるなど、この問題に迷い、悩む人たちの助けになるような情報が掲載されています。 |
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河合 隼雄/講談社(+α新書)
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臨床心理学者として有名な著者が、自らの診療経験を基にして、心理療法についてをメインに書き下ろしたもの。同業者を念頭に書かれてはいますが、タイトルどおり“心”そのものや、社会的要因などについても語られており、心理に興味のある方なら、面 白く読めるのではないかと思います。 |
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クリステル&イザベル・ツァヘルト;平野
卿子 /集英社
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15才の秋にガン宣告を受けた、あるドイツ人少女の日記と手紙をもとに、その尊厳死までの1年あまりの闘病の様子と、家族や友人との心の交流の記録を、遺された母親がまとめたものです。全体を通 して、さまざまな人々の愛情にふれており、深く胸を打つ内容です。時に涙ぐみながらも、少女の心の強さと明るさに励まされました。 |
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大和 明/音楽之友社
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ジャズの発生とその今日までの変化の過程を、世界情勢の影響もふまえて解説しています。後半、難解な部分が目立ったり、贔屓のミュージシャンにページを割いているところも見受けられますが、基本的に読みやすく、面 白かったです。ジャズがどういうものかを理解するための入門書として、なかなか良いのではないでしょうか。 |
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ズラータの日記
〜サラエボからのメッセージ〜 |
ズラータ・フィリポビッチ;相原
真理子 /
二見書房 |
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旧ユーゴスラビアのサラエボで生まれ育った、少女の日記です。これは10才の秋から2年にわたり、ボスニア内戦のただ中で綴られました。戦争の生む悲劇が率直に述べられ、何度も出てくる“奪われた、楽しかるべき子供時代”という、冷めて語られただけ痛々しい言葉が、印象的でした。彼女の味わった苦節の日々と、平和な国にいる幸せと無知との圧倒的な差異は、想像もつかないものです。 |
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ジュディス・S・ニューマン;千頭
宣子 /朝日新聞社
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看護婦として働いていた平凡な若い女性が、突然つきおとされた悪夢のような戦争の現実……が、この中にあります。収容所の生活、失う家族、強いられる非人間的な活動、虐待、暴行、殺人。恐ろしい現実です、「知らなかった」では済まされないほど。 |
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トニ・モリスン;吉田 迪子/集英社
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黒人に対する差別により生じる、さまざまな感情や問題が噴き出して余りある、重厚な物語。最後に残された希望、その明るさが救いとなっています。著者はオハイオ州生まれ。この作品でピュリッツアー賞を受賞しています。 |
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ミハイル・クリヴィッチ、オルゲルト・オルギン;小田
晋/イーストプレス
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ロシアで実際にあった残忍な事件と、犯人の記録、裁判のルポなどが主な内容です。精神病、精神遅滞、人格障害という3つの精神病形体が区別 されにくかった'70年代後半に、この一連の事件の始まりはありました。難航する捜査、無実の人の処刑など、当時のロシア警察の様子も伺い知ることができます。 |
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マイケル・ギルモア;村上 春樹/文藝春秋
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'70年代後半のアメリカで、被告の求めと、さまざまな要因の重なり合いにより、10数年ぶりに死刑が執行されました。著者は被告の末弟で、兄の生い立ちや、事件後の関連者の人生を追っていきます。求めて得られなかった愛と、募る憎しみ、恐怖がつまった話で、忌まわしく、殺伐とした心象風景が次第に浮き彫りになってきます。個人の責任と社会の歪みを考えさせられる、実話です。 |
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佐藤 直樹/青弓社
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80年代にあった異様と思える犯罪について、「70年代の高度成長社会=高度消費社会」というシステムの影響から生じた、という見解で述べられた本です。「刑事責任」を誕生させるため、近代に成立した“子ども”という観念が、現代の枠にはまりきらなくなっていること、「狂気と理性」「子どもと大人」といった境界の消失についても、言及されています。 |
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G・ガルシア=マルケス;野谷 文昭/新潮社
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著者は南米コロンビア出身の元新聞記者で、この話は、故郷で実際に起きた事件がモデルとなっています。巧みな筆さばきによって、小さな社会の中の人間性や問題などが、徐々に浮かび上がってきます。まず偶然の連続と、意図的なごまかしが在り、その結果 生じた犠牲や後遺症が、この悲劇の発端が如何にくだらなく、しかし恐ろしいものだったかを語っている気がします。 |
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遺言
桶川ストーカー殺人事件の深層 |
清水 潔/新潮社
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埼玉で実際に起こった事件の真相を追ったノンフィクション。被害者とその家族の無念の思いを伝え、警察の対応のずさんさや世論の偏り方など、ことが殺人に至るまでの社会的問題の“深層”にも迫る内容です。被害者が残したメッセージは、家族や友人ばかりでなく著者の胸にも刻み込まれ、悼みの気持ちと同時に、社会への憤りをも呼び起こすものとして昇華されています。 |
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マイケル・ドリス;灰谷 健次郎/新潮社
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自然のままに素朴に暮らす少女の、ある客人を迎えるまでの日々を綴ります。そう長くもない上に平易な文章なので、一見、児童向けなようなのですが、さにあらず。訳者のあと書きどおり、純粋な人々の物語であり、「文明とは何か」と考えさせられてしまいます。著者自身、ネイティブ・アメリカンやフランス、アイルランドとさまざまな民族の血を引いているそうで、余計に興味深く感じられます。 |
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ターニャのティータイム
モスクワっ子と暮らした1200日 |
ロイス・フィッシャー=ルーゲ/平凡社
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旧西ドイツ人と結婚したアメリカ人女性の、旧ソ連での暮らしを記したものです。連邦崩壊以前のモスクワ周辺の暮らしぶりがわかり、当時の社会状況を理解するのに役立ちます。やや独断的な記述も目に付きますが、アメリカ人の自己主張の強さと、その文化的背景の一端と考えると、興味深く思えます。 |
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青木 冨貴子
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ニューヨーク在住の著者の、'90年代前半のコラムをまとめたもの。月2回のペースで書かれており、その時その時の話題や事件が詰まっていて、興味深く読めました。在住していることで、内側から見たアメリカ内部の様子や問題点が率直に語られ、それが面 白く、為にもなりました。 |
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辺見 庸/共同通信社
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世界各地での、現地の食文化や食にまつわる記録・記憶を、旅日記のようにまとめたエッセイです。戦争にまつわるものは特に印象深く、考えさせられました。ジャーナリスティックな1冊だと思います。 |
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レイチェル・カーソン;上遠 恵子/佑学社
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小さな甥とともに自然の中で過ごした日々に、美しさや不思議さを感じ取って、喜びにあふれる時間や心の豊かさを味わったことを綴った、著者の遺作。物質や人工物に頼りがちな現代の生活への批判もあったかもしれませんが、純粋に自然を楽しんでいる様子がうかがえ、心地よい音楽のような文体です。著者の瑞々しい言葉に、細心の注意をはらって為された訳文も美しく、素敵でした。 |
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リチャード・プレストン;高見 浩/飛鳥新社
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ひと頃話題になった、エボラ・ウイルスを扱ったノン・フィクションです。ウイルスの恐怖や、登場する団体組織、情景など、さまざまなものに置ける描写 力が優れていて、理解しやすく、フィクションを読んでいるような面白さがある1冊です。 |
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ブライアン・サイクス;大野 晶子/ソニー・マガジンズ
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研究者である著者が、母系遺伝するというミトコンドリアDNAの特質を利用して、現代ヨーロッパ人の祖先にあたる、たった7人の女性を突きとめるまでの話です。解明した事実も興味深いですが、そこに行き着くまでの内事情とでもいうべき、同業者間の攻防の様子がまた人間的で、面 白いです。 |
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野口 悠紀雄/中央公論社
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時間をいかに有効に使ったり、作ったりするか、を説いたノウハウ本です。一貫して合理性を追求していますが、人間の不確実性を前提にしているため、誰にでもできるはずの方法を教えてくれます。読むだけでもけっこう面 白い、気さくさがある本です。 |
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経済のニュースがよくわかる本
<銀行・郵貯・生命保険編> |
細野 真宏/小学館
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小学生にも理解できるように書かれたというだけあって、愛嬌のあるイラストと簡単な言葉を用いながら、銀行や郵政事業、保険のしくみについて、平易に解説しています。経済に関する知識がゼロの人でも心配ご無用。出版された当時は施行されていなかったペイオフや郵政公社についても、導入後の将来を見越した上で述べられており、基礎知識を身に付けるために役立つと思います。 |
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石原 真弓/ペレ出版
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| 自らのアメリカ留学体験などを元にして、著者が提案する英語取得法「日記をつける」ノウハウの解説本。最低限の文法を説明するとともに、多くの例文や表現も掲載されていて、実践に即反映できるのが便利です。1日数行でも、間違えてもいいから続けるという気負わない手法も○。実行するなら、5年用や10年用など行数の少ない日記から始めるのがオススメ。 | |
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小倉 千加子/朝日新聞社
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| 「結婚したいのに、できないのは何故?」適齢期の男女のそんな思いを、医学博士であり心理学者でもある著者が分析しています。といっても中身は“論文”ではなく“読み物”。有名タレントの生き方を一例に取ったり、著名人の発言を取り上げたり。やや独断的であり、“短大卒以上・30代・シングル”以外が読むと納得いかなそうな見解も多いのですが、一意見としてはなかなか興味深い内容でした。 | |