個 人 民 事 再 生
1 個人再生とは。
民事再生法は,「小規模個人再生に関する特則」,「給与所得者等再生に関する
特則」, 「住宅資金貸付債権に関する特則」等を定めて,個人債務者が再建を
図ることのできる規定を整備しています。
個人再生手続きは,再生債務者が再生債権者に対し支払う「再生計画案」を
裁判所に提出し,裁判所の再生計画認可決定が確定した後,その計画に従って
弁済をするというものです。
再生手続きの開始要件,再生計画の認可要件,再生計画案の最低弁済額等
については,小規模個人再生を選択するか給与所得者等再生を選択するかによって,
異なります。
個人再生は,自己破産をしても免責不許可事由があって裁量免責を得ることが困難
と予想される場合や,任意整理での解決が困難な場合等に利用できるメリットがあります。
(1) 小規模個人再生概略
@ 小規模個人再生は大まかに言うと,将来において継続的に反復して収入を
得る見込みがあり,かつ再生債権の総額が5000万円を超えない個人債務者
が利用することが出来ます。
A 再生計画案で定める最低弁済額は,清算価値(破産による配当を下回る場合。
大まかに言うと,現在有している財産)又は下記の該当する金額のいずれか多い
金額となります。(以下に記載する「基準債権額」についての内容はご相談の際に
説明します。)
@ 基準債権額が100万円未満の場合→基準債権額の全額
A 基準債権額が100万円以上,500万円未満の場合→100万円
B 基準債権額が100万円以上,1500万円未満の場合
→基準債権額の2割の額
C 基準債権額が1500万円以上,3000万円以下の場合→300万円
D 基準債権額が3000万円超,5000万円以下の場合
→基準債権額の1割の額
具体例
基準債権が500万円で清算価値(預貯金,現金,保険の解約返戻金等)
が50万円の場合は,最低弁済額は100万円となり,これを原則3年で
弁済する再生計画案を作成することになります。
B 小規模個人再生には,再生債権者の消極的同意が必要になります。
すなわち,再生計画案に同意しない債権者が総債権者の数の半数に満たず,
かつ,その同意しない債権者の額が議決権の総額の過半数に達し無ければ,
再生計画案は可決したものとみなされます。
否決される具体例
A社 50万
B社 40万
C社 80万
D社 171万
総額 341万
T A社とB社が不同意→総債権者(4社)の半数(2社)が不同意
なので,再生計画は否決
U D社のみが不同意→議決権の総額(341万)の過半数(171万)
が不同意なので,再生計画は否決。
もっとも,再生計画案が否決されるケースは少ないのが現状です。
(2)給与所得者等再生概略
@ 給与所得者等再生の規定の多くは,小規模個人再生の規定が準用されて
います。
そして,給与所得者等再生を利用しうるのは,小規模個人再生を利用しうる
人のうち,給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがある者で
あって,かつ,その額の変動の幅が小さいと見込まれる人です。
A 給与所得者等再生の最低弁済額は前述の小規模個人再生に掲げた各金額,
可処分所得額のいずれか高い金額となります。
可処分所得とは,再生計画案の提出前2年間の再生債務者の収入の合計額から
所得税,住民税,社会保険料に相当する額を控除した額を2で除して算出した
額から再生債務者及びその扶養を受けるべき者の最低限度の生活を維持する
ために必要な1年分の費用を控除した金額です。
具体例
基準債権が500万円で清算価値(預貯金,現金,保険の解約返戻金等)
が50万円,可処分所得が200万円の場合は,「100万円・50万円・200万円」
のいずれか高い金額,すなわち最低弁済額は200万円となり,
これを原則3年で弁済する再生計画案を作成することになります。
B 給与所得者等再生では,小規模個人再生のように再生計画案は決議に付されない
(すなわち,再生債権者には再生計画案を反対することはできない。)といったメリット
があります。
しかし,給与所得者等再生が認可され,その完遂によって 免責を受けた時は,
当該再生計画案の認可が確定した日から7年は,何らかの事情により再び多重債務
になってしまったとしても,再度,給与所得者等再生は利用できず,破産の免責も
裁量免責がなされる以外は免責不許可
となります。
(もっとも,再び多重債務にならなければ問題はありません。)