第二十七回 徳川の妻




【あらすじ】 納得するまでは慶喜(平岳大)、慶福(松田翔太)のどちらにも味方しないことを決意し、あくまで中立を保つことを明言した篤姫(宮崎あおい)。そんな折、滝山(稲森いずみ)が井伊直弼(中村梅雀)を大老にすべく嘆願書を持参し、篤姫にも賛同を求めた。篤姫が一橋派であることを知った上で、大奥全体が紀州派であることを知らしめるものである。
断固拒否するよう篤姫に求める幾島(松坂慶子)だが、篤姫は即答を避け、後日「前例がない」ことを理由に自らは名を連ねない意思表示。しかし一方で嘆願書は滝山に一任すると、紀州派を否定しないことも示唆した。
薩摩では斉彬が井伊の大老推挙に対抗して、松平慶永(矢島健一)を対抗馬とする策に出ていた。
家定の意向もあり、篤姫は井伊直弼と松平慶永の二人に面会。どちらが大老に相応しいのか見定める機会を得るが、どちらが相応しいかの判断はあえてしなかった。
力のある諸侯が新しい政を行うべきだとする慶永。徳川将軍家を守り抜き、強い幕府を作ると言う井伊。
そして家定(堺雅人)が自ら選んだのは井伊であった。





【感想】 うおーん。最終回一歩手前で既にちょっと涙腺がまずい状態じゃないですか。あ、いや最終回じゃないですけど、私的最終回一歩手前。
というわけで、今回は流れに沿って行ってみようかな…。

いきなり滝山VS幾島。それも裏でごたごたじゃなく、思い切り正面からガチンコです。
いい勝負ですが、エキセントリックになりすぎの幾島旗色悪し。
「あなたは御台所付き、私は公方様付き、私の方が偉いんだからっ!」と言われてはぐうの音も出ない幾島ですが、彼女が必要以上に熱くなるのは、ひとえに篤姫様が家定様に惚れてしまっていて、当初の役目を「わかってる」と言いながら一歩進んで二歩後退状態だから。
心中お察しします。
篤姫を責めるつもりはさらさらありませんが、惚れる相手もいない大奥での幾島の立場とこれまでの労力を考えると、姫の行動はあんまりにもあんまりなんですよねえ。輿入れしてからというもの、幾島は「あの件!ちゃんとやらないと!」しか言っていないイメージで、非常に気の毒。そのためのあんなことやこんなこと、あんなバトルやこんなバトル、本当は裏で山ほど辛い思いをしているのは幾島なんですよねえ。
後半涙ながらに悔しがる姿が、ある意味武家の女子の手本のようで、ちょっとこっちまで泣けてきます。

嘆願書のことを話題にする親子の方は、息子がすっかり上手になって本寿院さまの口を上手い具合に塞いでます。
自害する覚悟だと嘆く母上に、口を少しへの字にして胸中「困ったもんだな」と存外クールな息子。投扇など楽しみながら(いや楽しんではいないか)、母を諭すように「世継ぎのことは自分で決めるよ。だってそれが自分の仕事だもん」と、サラリ。そんなデキル男に変身してしまった息子に「デキが悪いほうが子供はかわいいのに」と、思ったかどうかはわかりませんが、上様は変わったと言う母。
世の男性陣、ここから先をよーく見ておいたほうがいいですよ。
「だとしたら母上のおかげにございます」
と、一旦持ち上げるだけ持ち上げておいて
「母上が薩摩から元気な嫁を貰うてきて下さったからにございます」
と、これじゃー母はヨメの悪口も言えまい。ヤルなあ〜上様(笑)。

恒例の五つ並べ、見た感じ互角に戦ってますが、篤姫様は浮かない顔。ハリスに会う前までは上様の方が溜息まじりで、姫が励ますという図式だったのに、すっかり逆転してます。
何も言わなくても先回りをして「どうしたの?」と聞いてくれる家定様。こんなに気の利くダンナもなかなかいません。しかもちょっと上目遣いに様子を見る目は既に篤姫様が、何故鬱々としているのか見通しているわけです。
嘆願書のことなら知ってる。母上のことは気にするな…とヨメとしては最高に嬉しい筈の答えにも反応はイマイチ。
「どっちの味方もしないなんてお前にできるかなあ〜」と、薩摩人気質まで持ち出して、つまるところ「お前のいいところは、理性で中立とか言って我慢することじゃなく、本能のままに正しいと思う方向へ(例え間違っていても)突っ走るところだろ?」と、言っているわけですから、とんでもなく理解のあるダンナです。
「今宵は気分が優れぬゆえ、表に戻る」
と、途中で立ち去ってしまうのも、自分の気分が優れないというよりは、戸惑うヨメに少し考える時間をあげるよ…というような優しさに見えてしまうファン心理。
月を見上げて「うっ」と心不全の兆しをみせてますが、しかしその顔はなかなか幸せそう。病気とか怪我を押している男の姿ってなんで3割増しにステキに見えるんでしょう。不思議だー。

その頃薩摩は大騒ぎ。
京都で朝廷がえらそーなこと言って幕府をコケにしたらしいぞー!と、大声で騒ぐ…これが家定様の言う「熱き心=薩摩人」ってことなんでしょうか。それにしても熱き心というよりは暑苦しい心って感じですが、ま、それはそれとして。
そんなところでも尚五郎改め帯刀は、ぼんやり顔。なんと皆が日本の将来を考えて大騒ぎしているというのに、一人で「殿に無礼なことを言ってしまったー」と、くよくよしていたようです。帯刀になってもなーんもかわってない尚五郎。
しかしいつもと違うのは鬼になった大久保さん。
ぐちぐちと自分のしたことを愚痴る帯刀の姿に「わかるよ〜」といつもどおりに同意しておきながら「でも殿の言うことのほうがもっとわかるけどな」と、一刀両断。
「人には非情に徹しなければならんことがあるのだ」と。
おお、ようやく大久保さんが私の知っている大久保さんぽくなってきた(笑)。
斉彬に謝る帯刀。斉彬もどうやらこの人には惚れ込んでいるらしく、そんな無礼な物言いなどはどーでもいいという様子。寧ろ「お前の言い分を聞いて、更なる作戦を考えたぞ…どうじゃ」と、松平慶永を大老に推挙するという技を披露。
なんかここの主従関係ってわかりにくい〜。ひたすら斉彬様が心の広い方ということで良いのかしら?一歩間違うと帯刀が、自分の感情を抑えられない無礼な馬鹿タレに見えてしまうんだけども。そのあたりも薩摩人の熱さってことでいいのかしら?(←あんなにお気に入りだったのに、既にどーでもよくなってきている)。

一方大奥では、嘆願書に御台所が名を連ねるなんて前例がないからしませんと、篤姫様は滝山のプレッシャーをはねのけます。このときの姫様はかっこいいですねえ。ちゃんと物事を考えてきちんと答えを出すという、上に立つ者らしさが出てきました。
しかも「この話は聞かなかったことにする」と、つまり「私は参加しないけど、やりたいなら好きにやっていいよ」と、斉彬様ばりの心の広さ。しかもフェア。
幾島は泡食ってますが、しかしここのシーンは大奥の頂点御台所らしくてステキでした。
滝山や本寿院様の覚えも良くなることでしょう…このあたり、先々の大奥での篤姫の信頼度や力関係に大きな布石となりそうです。

そして、胸にぐっとくる展開の多い中で、すっごいいいアクセントになったわ〜と、私が大喜びだったのが堀田様。
「京都では失敗しちゃいました…」と脂汗を流してビクビクもんの報告をする堀田に、「お前にそんなことが簡単にできるとは、最初から思ってなかったわい。責めるのもつまらん。もういいから帰りなさい」というような内容を、上品に優し〜く言う上様。
命拾いの堀田は、慌てて老中の件を訴えます。
どうやら京で一橋派を決めた堀田は真面目に慶永推挙。
「それは何ゆえじゃ?」
「はっ」(進み出る)
「や、良いわ」
ズコッ。
という、ベタなコントのような展開ですが、「や、良いわ」から堀田のコケまでの流れが絶妙で、辰巳さんグッジョブです!
そうそう!みかんもキャッチできないトロイ子なんだから〜〜〜と、ついつい阿部様在りし日を思い出して、再び目頭が熱くなるのでした。
意外とこの人、癒し系かもしれません。

またも浮かない顔での囲碁。またも「どうした?大老の件じゃろ?」と、先回り。
上様ったら過保護なんだから!とかなんとか突っ込みつつ、「一目打ったら答えても良いぞ」と、すっかり上様ペース。なんか大人の男だわ。
「信じられるのはお前だけだ。一緒に奴らに会わないか?わしの補佐をしてくれ」という、ヨダレもんの口説き文句(ちょっと違う)に、「やってみたい!」と素直に応じる姫様。
デキル夫婦になってきてます。

まずは慶永から。
顔をあげたら御台所までいるものだから、慶永様ってばちょっとびっくり。
「われらは夫婦、一心同体ゆえな」と、これまたノロケまくりの上様。なんだか見てるほうが恥ずかしくなってきちゃうじゃありませんかっ。同じくちょっと恥ずかしい気分になったっぽい慶永様ですが、「こりゃ追い風だ!」と言わんばかり、堂々と烈公会議を提案。水戸様だけじゃなく、薩摩の父上も賛同されてますよ〜とプッシュ!
ですが中立を宣言してしまった姫様は困惑顔。言ってる提案がマトモで、しかもドイツ流でやりますよ…なんて言われてしまったものだから、これは父の命とは関係なくちょっと魅力的な政策でしょう。
困ってる姫の横顔をそっと見つめる家定様の目線が鋭いながらも優しくてステキです。

次の方どうぞ。
というわけで井伊(←呼び捨て)。
こちらは「なんでこんなところに女子がおるんじゃいっ」と、ふてぶてしい態度。今までどおりのやり方で強い幕府を作らなくちゃ…と理想論を展開。
「外様風情が口を出すのは筋が通りません」と、「薩摩なんかが出てきてること自体おかしんだよ。そもそもなんでそんなところからヨメ貰ったかねー。ふんっ(超意訳)」てなもんです。
「俺は徳川将軍家を守るぜ!外様から送り込まれたあんたにゃその覚悟ねえだろー」と、言わんばかりの冷たい目線。ああ、今姫の心がグラリと傾いだ気がします。
全部の話を聞き終わったときの、家定様の目が再び印象的。この目線は既に篤姫様の心の内を読んでしまっているのでしょうね。

というわけでお庭を眺めながら「どう思った?」と上様。
「私は中立を保つ身ゆえ、どちらとも申せません」と、殊勝なことを言う篤姫様ですが、それじゃーあんた同席した意味ないじゃん…とか思ったのは私だけ?
珍しく自ら多くを語る家定様。結局井伊に決めました。
政として考えるよりも、一族を、家族を、ヨメを守りたい気持ちが優先したようです。今までそんなこと考えたこともなかっただけに、ここ一番の判断でそれが大きく影響したようす。前は「最後の将軍になったっていい」って、言ってたのにね。やはり愛する人の存在は大きいっ。
徳川将軍家を遺せば「そちやその子孫を守ってやることができる」と。
うぉおお〜い。今、子孫て言った?そちやその子孫って…。ついに作る気になったかー!と、おちゃらけてる場合じゃありません。ここでこのドラマの大きなテーマである家族という単語が連呼されます。
夫婦だの家族だの、今和泉のようになりたいと切に願っていたのは篤姫様の方だったのに、いつしかそれを本気で考えていたのは家定様の方になっていたのですねえ。家族を作り、本気でそこに骨を埋める覚悟をしていなかったのは自分の方だと、姫様気づいたでしょうか。

幾島に涙ながらに怒鳴られてますが(それも尤もなんだけど)、姫様はどうやら心の中で何かがズレていることを気にしている様子。斉彬からの書状を差し出されてもすぐには手がでない。考えて考えて考えて姫が発した言葉は。
「私は間違っておった」
あれ、これ何回目でしょうねえ。ときどき篤姫様は自分の間違いにハタと気づくようです。

で、その結果がロクに走ったことのない奥の人間たちを従えての疾走。皆息切らしているのに、姫は汗もかかずにぶっちぎり。やっぱり薩摩の野山を駆け回っていたお転婆姫様は違います。
ほんっとに毎週言ってて申し訳ないんですけど、このBGMだけはやめて欲しいのっ!折角盛り上がってきてるのに、寧ろ私はあれでちょっと笑いが出てしまうのっ!演出やらストーリー展開やらセリフ回しやらはベタなのに、なんでBGMだけはこうアバンギャルドなのっ!
「扉をあけよ!」
つて、なんか呪文みたい〜と思ったら、ええ?開くんだー!とビックリ。開くんですねえ、ツルの一声で。
何があっても開かないもんだと思っていたんですが…。まあもうここまでくれば決まりは破られるためにある!ぐらいのことでいいのかもしれません。愛の力が開かないはずの襖を開けさせてしまうのでしょう。

そしてステキなシーンはこの後にありました。
薬を飲む家定様の横顔!横顔です〜。しかもちょっと上を向いてたりなんかしちゃって。これだけでご飯3杯食べられるよっ。
「公方様っ」の切羽詰った声に「なんだっげふっ」。この「げふっ」は上手いですよねえ〜!くう〜たまらんっ。意外とこれが本日のベストシーンかも。
スローモーションで現れる姫。驚く上様。こりゃーこの間のロミオトジュリエットの続きですな!「会いたくて、私のほうから来ちゃった♪」的な。
やっぱり恋は障害が多いほど燃えるんだよなー。次のお渡りまで待てなかったんだもん。それがまた薩摩人的熱さなのかしら?(←しつこい)。
しかしここで上様は意外とクール。そこまでしてやってくるコトの重大さの方を察するあたり、やはりこの人は人の心を察する達人。人間的にスーパー上様じゃないですかねえ。
「よくもまーここまでやってこられたものじゃー」
まったくです。
「私自分のことばかり考えててごめんなさい」と、今更ながら謝る姫様。「徳川のヨメとして生きます!」という告白を目を細めて聞く姿のなんと美しいこと。ちょっと目を細めた顔なんですけどもねえ〜あの右目の方がより細まっているのがなんとも(マニア過ぎます?)。何気にあれは山南憑依の顔ですね…ブラボー!
最終的にはうつけトーンの声で「そうしよう!」と、まとめたのは、幾島の目を若干気にしたか。他の者がいる前でシリアスな顔なんかしないよ〜ってな感じかもしれませんが。いや、良く考えたら先日とっくに幾島の前で二人だけのバラの世界を作っていたんでしたっけね。

それにしても気づいて欲しい…上様が手にした赤い薬包紙。姫!自分のことでいっぱいいっぱいで感極まってますが、あなたのダンナ薬漬けですよ。

そして恒例の寝所。
すっかり夫婦らしい立ち居振る舞いが板についてます。
「随分とお疲れの御様子ですが」って、そりゃーあんた無理矢理表まで押しかけといて、そりゃないよー。「わしが始末つける」と言ったくらいで済んだように見えますが、ありゃえれー騒ぎのはずですよっ!タダでさえ政が面倒なときに、夫婦の問題を表に持ち出したんですよー。
ですが上様、井伊を大老に決め、そして世継ぎは慶福に決めたそうです。
「慶福なら若年だから、お前が後見として表向きに口出しできるだろ」と、すごいことを言い出します。もう完全に自分が一週間後に死ぬことを知っているかのような口ぶり。そして篤姫様がそこそこ長生きすることも知っているような口ぶり。
「でも少しお気が早すぎるのでは?」って、突っ込むの遅いぞー姫!
と思ったら、急に目を見開いて姫の顔を正面からじっと見詰める家定様。
目でかいなあ〜。すごい眼力だよなあ〜。細めてよし、見開いてよし、こんな顔のこんな演技の人がいていいのだろうか(←あまりのことにちょっとモードが変)。
「この顔を忘れたくないのさ」
なんてキザなこと言うもんだから、姫様恥ずかしそうに顔を背けてしまうではありませんか。で、背けたもんだから上様は後からハグ。
「こんな俺と夫婦になって後悔はないか」なんて、あの体勢だから必然的に耳元で。あの声で耳元で囁かれたら後悔してても「してません」と答えてしまうでしょうねえ。
「生まれ変わっても自分に生まれて、また出会って夫婦になろうね」と、乙女モード全開の二人。
「幕府もハリスも将軍もない世界に行きたいのう」なんて、もうもう…涙が…うおおおおーん。すいません、なんだかんだ言ってベタな展開に弱いんですう(今更ですが白状します)。
このときの声がもう究極に切ないんですよねえ。うつけボイスとの使い分けを考えるともう別人!
というわけで、「日本一の男のヨメになれて私は幸せよ〜!」と、告白する篤姫様。
そんな姫様を「かわいそうだー」と案じて殿様に噛み付いてた薩摩の尚五郎は何をしているやら。姫は自力でほんまもんの愛を手に入れたようですよっ!聞こえてる?おーい!なおごろーーーーっ!

はてさて、しっかり正面から抱き合った二人はきっとこの後、最初で最後の…。
正真正銘の夫婦となったとさ…(とはどこにも書いてないけど脳内で補完)。

ああ、それにしても幾島が気の毒だなあ。
大久保さんの言ってた「非情にならねばならないこともある」ってのはこういうこと?(じゃないよな)。
すいません、シリアスになればなるほどおちゃらけたくなってくるこの性格。なんとかせねば。
来週どうしよっかなあ〜。
感想書けるかなあ。

堺さんの死ぬシーンって、どの役とっても秀逸なんですよねえ。死に上手だと思います。
巷ではこのうつけ殿が大ブレイクなんだそうで、きっと来週が1年間の中で一番の高視聴率になりますよ(笑)。「友の死」みたいに。で、年末にこの週だけ再放送されるんだわ(気が早くてすみません)。
どきどきするなあ〜。





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